真意
天皇が生前退位を望まれている、らしい。先日の選挙の結果の後に、表立ったことから、考えられることはひとつしかないのではないか?
愚かな太平洋戦争の敗戦の後、昭和天皇が現人神から日本の国の象徴という形で生きてゆくことになり、戦犯として処刑されずに済んだのは、戦争放棄という憲法が公布されたおかげだ、と今上天皇は受け取っておられるのではないか?
右翼でも国粋主義者でもなく、むしろ絶えず国家権力を疑っている自分でも、天皇ご夫妻が国難(もちろん自然災害のことだ)あるごとに、時の政権など足元にも及ばない対応を示されることには、まったく頭が下がるばかりだ。しかも近年はとみに、戦争の犠牲者を追悼するためにか、ご高齢を押して国外にまで足を伸ばしておられる。
戦後にあっても、おそらく大概は気づかぬほど深い心の奥底で、この国の拠り所であったと思われる、天皇という存在そのものを支えて来た現行憲法が、ないがしろにされている状況に、天皇ご自身がもう耐えられないほど憤っておられるように感じる。
天皇には、一般人とおなじような人権はなく、政治的な発言も許されない。天皇という肩書が外れても、そういうことが出来るわけではないにしても、これ以上偽りの中で生きてゆくことは難しい、と考えておられるように思えてならない。
目先の金に目のくらんだ愚民は、かくして、戦後の良心の支えを失おうとしているのだ。
2016年7月14日(木) 20:13